いつものファミレス。いつもよりはちょっぴり早い時間。 京夜と真央は、いつもの席にいた。 真央は、ぐでーっとテーブルに突っ伏している。ぐったりと元気がない。 「あー、もー……。会社ー……、行きたくねー……」 「しっかりしてくださいよ部長。五月病にはまだ早いですよー」 「ちがうよー……、これは四月病っていうんだー……」 「そんなのありませんって」 スーツを着て、格好だけ〝社会人〟の彼女を見ながら、京夜はため息をついた。 真央はこの四月から会社に通っている。 「あと部長って……、それヤメロー。……おまえ、たまに言うよなー。わざとだろ。ぜったいわざとだろ?」 「ええ。もちろんわざとですよ。――やめてほしかったら、はい、会社行きましょう」 「やだー……、もうヤダー……、会社いきたくねー、おまえもいっぺん会社いってみりゃいいんだー……、あんなんジゴクだぞー、無理ゲーだぞー」 「僕も来年になったら行きま