最初に映画を見終わった時の感想は、なんとも複雑なものだった。ある程度の本数の映画を今までの人生で見てきたつもりだけれど、それらのどれにも似ていない。もちろん、何かに似ている必要などないし、常に新しい表現にはワクワクさせられたいのだけれど、どうにも処理できない大きな塊を抱えてしまった気がした。 その後、知り合いにこうの史代さんの原作マンガとチケットをプレゼントし、自分でも原作を読んでみた。広島で配布されていたロケ地マップを入手し、もう一度映画を見て気付いていなかったことを確認し、コトリンゴさんのコンサートにも行った。それほど手放しの大絶賛で追っかけているのかというとちょっと違って、とにかくこの作品にはずっとモヤモヤさせられているのだ。理由は自分でもよくわからない。 まるで、噛み切れない肉の塊を口に入れてしまったかのようで、無理に飲み込もうとすれば窒息しそうだ。顎の軽い疲れを感じながらも、未だ
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