■月刊「記録」1997年12月号掲載記事 * * * ■手を何度洗っても 睡眠薬に「ブロバリン」というのがあるでしょう。あれを、大量に飲んだんだよ。大学を中退した後だったから、22歳くらいだったか。夏の暑い日だったことのほかは、夜だったのか昼だったのかも覚えていない。結局、大量に飲みすぎちゃってね、みんな吐き出しちゃったみたい。苦しんで暴れたらしくて、アパートの隣人に発見されて、救急車で運ばれ、自殺は未遂に終わった。 ずっと神経症に悩まされていた。手を洗っても洗っても、きれいになった気がしない。道を歩いていて、穴なんかを見つけると、誰か落ちるんじゃないかと気になって仕方がない。外出しても、ガスの元栓を閉めたかどうか、戻って確認しないと気がすまない。元栓を確かめて出てくると、今度は玄関の鍵をかけたか気になっている。もう、次から次へと気になって、外出なんてで
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