バスケブームと 折茂武彦が見た現実 1990年代の日本バスケットボール界は、未来への展望を描けていなかった。国内トップリーグで27年間、現役選手としてプレーし続けたBリーグ1部、レバンガ北海道の折茂武彦社長(53)の記憶は鮮明だ。 折茂武彦(左)と佐古賢一(右)は日本屈指の選手として注目を集めた。2022年の折茂の引退試合には、北海道のヘッドコーチだった佐古も出場した 日大時代、全日本学生選手権で活躍した。決勝の会場の代々木第2体育館は人が入れないほど満員だった。「でも、一歩外に出ると、まったくバスケットが知られていない。これだけの人が試合を見に来てくれるのに、外に出たら、もう誰も僕のことは知らない」大学卒業後の1993年、サッカーのJリーグが開幕した。学校体育などで広く親しまれるスポーツとして同じような位置づけだったのに、プロ化によって競技環境や人気、待遇の差はあっという間に開いてしまっ