ロシアのウクライナ侵攻は3年に及び、この間、国際社会の力学を大きく変え、特に米国の対外政策においてはウクライナ支援の限界が中心的でありながら、他の中東問題がクローズアップされるなか、微妙に言及しにくいテーマとなっている。米国はこれまで膨大な資金と軍事支援をウクライナに提供してきたが、その支援にはそれなりのメリットがあった一方で、国内外でもう限界にあるとの懸念が浮上している。今後も米国の支援の継続が可能なのか、そして米国が支援を停止した場合、国際社会はどのような影響を受けるかを論じるべき局面である。ここでは、米国のウクライナ支援のメリットとデメリットを整理しつつ、支援停止後のシナリオと、それがもたらす国際社会への影響について考察する。最悪のシナリオでは、ウクライナ全土が占領されることは避けられるものの、ウクライナは軍事力を失い、ロシアの求める新しい国境線が国際社会に受け入れられる状況に至る可