【ニューヨーク=松尾理也】米メディアのあいだで、相次ぐ爆発と深刻な放射性物質(放射能)漏れに苦しむ福島第1原発に残って作業を続けている50人の作業員への注目が急激に高まっている。16日付米紙ニューヨーク・タイムズは「最後の防御」と題して50人を特集したが、驚くべき自己犠牲の精神に対する称賛の裏側には、この国家的危機に際しても他の電力会社や国際社会の総力を結集できずに手厚い作業体制を敷くことができない日本の対応への疑問やいらだちも透けてみえる。 「日本を核の大惨事から救う最後の頼みの綱」。ニューヨーク・タイムズは50人をこう表現した上で、「彼らは迷宮のように機器が入り組み、停電で真っ暗になった施設内を、懐中電灯だけを頼りに、防護服とマスクに身を包んではいずり回り、海水注入などの作業にあたっている」と、その献身ぶりを伝えた。 「だが、被曝(ひばく)限度を超えれば作業員は現場を離れなければならな