石川県七尾市の衣料会社が開発した世界で最も軽く薄い布地がこのほど、パリのオペラ・バスチーユで公演されるバレエ作品の衣装に採用されることが決まった。悟りを開く前の仏陀(ぶっだ)をモチーフにしたバレエは今回が世界初演で、日本の技術力が生んだ最軽量の布地にとっても世界デビューとなる。 開発したのは七尾市の天池合繊(天池源受社長)。ポリエステル系の素材を使い、1平方メートル当たり5グラムという前例のない軽量化を実現、染色などにも成功した。 ただ、一般の布地に比べて価格が10倍にもなるため、日本貿易振興機構(ジェトロ)を通じて海外の需要を調べたところ、オペラ座の舞台衣装部から引き合いがあった。サンプルを見た担当者は「息を少し吹き掛けただけで揺れる」と激賞。「直ちに仮縫いの分の布地を送ってくれ」と即決したという。(共同)