ノア・ノア (岩波文庫 赤 549-1) 作者:ポール・ゴーガン岩波書店Amazonヨーロッパを逃れ、はるばるタヒチまでやってきては観光したり絵を描いたり、ぐでぐでしたりしているゴーギャンの自伝というか滞在記というか、メモ書きみたいな感じの一冊。ゴーギャンがタヒチで描いた絵の版画バージョンが収録されてもいる。まあ正直、読みものとしてそんなにおもしろいものではなかったのだけど、ところどころ印象的なシーンはあった。 たとえば、エドゥアール・マネのスキャンダラスな作品、『オランピア』の写真の話。『オランピア』は、女神のように理想化された女性像を描くのがふつうだった当時の美術界において、非常になまなましい、リアルな裸婦の姿を描き出した、っていうような意味において革新的な作品だったらしいのだけど、ゴーギャンはこの絵のことがとにかく気に入っていて、写真をタヒチまでわざわざ持って行っていたのだという。