ロシアによるウクライナ侵攻を受け、ジェノサイドをやめるよう訴える人たち=ニューヨークで2022年4月9日、ロイター ロシア軍によるウクライナ国民の大量殺害に対して、国際社会では「ジェノサイド(大量虐殺)だ」と非難の声が上がる。ジェノサイドとは第二次大戦末期、国際法でナチス・ドイツの蛮行を裁くために考えられた比較的新しいコンセプトだ。エスカレートするロシアの行為はこの定義に当てはまるのか。【堀和彦】 国際法廷で認定された事例は3件 大量虐殺を定義したジェノサイド条約は1948年に国連総会で採択された。その中で、集団殺害を「国民的、人種的、民族的、宗教的な集団を全部または一部破壊する意図をもって行われた行為」と規定。私人と政治家や公務員の違いを問わず、規定に抵触した者を処罰し、被告の裁判を「国際刑事裁判所」で審理すると定めた。 しかし、すぐに米国とソ連による東西冷戦が本格化し、条約に明記した裁