【モスクワ=貞広貴志】ロシアのメドベージェフ大統領が北朝鮮の金正日総書記をこの時期に迎えたのは、金総書記との首脳会談がロシアの国際的発言力の強化、特にアジアで存在感を高めるための絶好の機会になると判断したからだ。 ロシアは、この数か月に北朝鮮との関係を緊密化させた。フラトコフ対外情報局長官が5月に平壌で金正日総書記と会談し、国営ガス事業体ガスプロムや軍の幹部が相次ぎ訪朝。露朝関係筋は、こうした動きのきっかけは「北朝鮮からの働きかけだった」と証言する。 メドベージェフ大統領は、ウラジオストクでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議開催を1年後に控え、アジア重視を掲げて北東アジアの安全保障の枠組み作りに意欲を示す。今回の首脳会談では、金総書記から核問題をめぐる6か国協議再開に向けて何らかの言質を取り、「アジアの大国」として地歩を固める狙いがあるとみられる。