人間の脳は1秒間に1016回という現存するいかなるコンピューターよりも強力な処理を行うことができる。だが、人間の認知には偏りがある。このおかげで、しばしば判断が狂い、誤った結論を下す。 そうした認知バイアスを紹介する前に、論理的誤謬(ごびゅう)との違いをはっきりさせておこう。論理的誤謬(ごびゅう)とは、論理的な論証における間違いだ。 例えば、人格攻撃論法、すべり坂論法、循環論法、威力に訴える論証などが挙げえる。他方、認知バイアスとは、思考上の欠陥や制限、すなわち記憶の誤り、社会的帰属の誤り、記憶の誤りなどに起因する判断の欠陥のことだ。 社会心理学者の中には、認知バイアスは効率的な情報処理に役立っていると主張する者もいる。それでも、このせいで酷い間違いを犯すことはよくある。ここに覚えておいて損はない認知バイアスを挙げておこう。