2月22 戸田山和久『恐怖の哲学』(NHK出版新書) 8点 カテゴリ:思想・心理8点 サブタイトルは「ホラーで人間を読む」。ホラー映画を題材としながら、「恐怖の機能」、「恐怖の正体」、そして「ホラーを楽しむということ」を徹底的に掘り下げようとしています。 著者が「まえがき」で「恐怖は意外にも哲学の主題になってこなかった」(16p)と書くように、「笑い」や「愛」などに比べると「恐怖」を論じた哲学は少ないはずです。ただ、その理由は想像しやすいもので、「笑いや愛といったはものは人間独自のものだが、恐怖は他の動物にもあるものだから」といったものがあがるでしょう。 しかし、実はそこが著者の狙い目でもあります。著者は「あとがき」の最後の部分で次のように書いています。 さて、本文の最後で書いたとおり、哲学は生物学や脳科学とシームレスでつながるべきだ。魂があるから、理性があるから、言語があるから、人間は特