「反響の大きさに驚いています」。石橋は、山梨県の自宅からのオンライン取材を通してこう語る。「でも、素晴らしい作品がそれに値する評価を受けるのは、とても嬉しいです」 インタビューはとても寒い日に行われた。石橋と彼女のパートナーで、頻繁にコラボレーションをしているジム・オルークの二人は、室内でもマフラーをぐるぐる巻きにしていた。ダイニングテーブルの向こうには、ドラム用のマイクスタンドが見える。二人は日々、それぞれの音楽プロジェクトに取り組んでいるという。 映画と同様、石橋によるサウンドトラックは、日本における一般的な映画の流行とは対局にある。「日本映画のサウンドトラックとは、隙間なく流れる甘ったるくエモーショナルな音楽のことです。どれもひっきりなしに流れる予告編のように聞こえます」と彼女は言う。 オルークが付け加える。「日本の映画産業においては、サウンドトラックを作る時間がほとんどありません。