斉明天皇らの墓と事実上特定された古墳の周辺。隣で新たな古墳や石室が発見された牽牛子塚古墳(1)、高松塚古墳(2)、欽明天皇陵(3)=奈良県明日香村で本社ヘリから(沢野貴信撮影) 「飛鳥には何が埋まっているか分からない。『ダメ押し発掘』で石室が見つかるとは」。越塚御門古墳を調査した奈良県明日香村教委、西光慎治技師(40)は驚きを隠さない。 10月中旬、現場の埋め戻し作業が急ピッチで進んでいたころ、西光さんは、牽牛子塚古墳の南東約20メートルにポツンと埋まっていた1メートル大の巨石が気になっていた。人為的に割れた痕跡があったためだ。「ただの石ではなさそうだが…」 発掘現場では、調査終盤に一部を掘り下げて遺構の状況を再確認することがしばしばある。担当者の間では「ダメ押し発掘」と呼ばれ、ごくまれに大発見につながるときもある。 今回がそうだった。巨石の周囲を掘り進むと、約1メートル下でスコップがカチ