【ムツゴロウのいのち万華鏡】素直になったラジャを海に連れていった。一緒に泳ぐ魔法の時間が過ぎると、インド洋の赤い日没に包まれた=スリランカ(ジェルミ・エンジェルさん提供) ■シーン1 サマラシンゲから連絡があった。電話をくれとのことだった。彼は親しくなったゾウのオーナー3人の内の1人だった。 電話を入れた。彼は、あなたのゾウがおかしくなっている、少年を傷つけたと教えてくれた。 私は日本で仕事に励んでいた。でも心はスリランカにあり、寝入りばなを起こされたりすると「おい、ゾウをつないだか」などと口走り、女房に笑われたりした。 ある年、ゾウに惚(ほ)れ、100日間、ゾウと暮らした。すっかり入れこみ、日本なんかに帰ってたまるかと言い続けた。そこへ女房が、娘を連れてやってきた。私を呼び戻すためだった。彼女は言った。 「ゾウを1頭お買いなさい。そうしたら縁が切れず、ちょくちょくこれるでしょう」 運とは