『アニメ作家としての手塚治虫〜その軌跡と本質』(津堅信之著・NTT出版)より。 (日本初の本格的テレビアニメシリーズ作品である『鉄腕アトム』のアニメーションとしての技術的な側面) 【さて、『アトム』成立に関係する虫プロサイドの動きとして、もうひとつ重要なのは、毎週1回30分の作品を送り出すための、さまざまな技術開発である。すなわと、東映動画に代表される同業者から、電気紙芝居のような動かないアニメーションを「ひとりとして評価する者はいなかった(大塚康生『日本のアニメに期待すること』より)」とまで酷評された、さまざまな省力化手法の開発にあたっての動きである。 これについては、山本暎一が『虫プロ興亡記』で、次のように詳しく説明されている。 (1)3コマ撮り:なめらかに動かしたいときでも、1枚の動画を、従来のように1コマ撮りや2コマ撮りせず、3コマ撮りで撮る。 (2)トメ:なにかを見ているキャラク