化学物質の構造類似性にもとづくデータマイニング 高橋 由雅, 藤島 悟志, 加藤 博明 Return 1 はじめに 「AはBに似ている」,あるいは「CはDと××が似ている」といったいわゆる“類似性”の概念は科学における様々な問題解決の場で利用される極めて重要な概念の一つである.このことは化学の分野においても例外ではなく,その対象となる分子の間の類似性がしばしば言及される [1, 2].特に,これまでの明示的な部分構造マッチングとは別に,“似た構造”あるいは“似た反応”といったいわゆる化学的な“類似性”の概念を如何に取り扱うかは,関連分野におけるコンピュータのより高度な利用を図る上で極めて重要な問題の一つであり,こうした分子の類似性の概念に基礎を置く,より柔らかな構造情報処理に向けた新たな技術の確立が望まれている. ところで,“分子の類似性”と言っても,その対象は様々である.例えば化学構造の