もちろん、グリム童話は“残酷な話”である。 『シンデレラ』の灼熱のダンスや『ヘンゼルとグレーテル』の人喰い魔女など序の口で、 母親が長男を殺して父親に食べさせる話まである。 そんな残虐な物語をいたいけな子供に読ませたら、いったいどれほどの悪影響があるだろうか? 答えは簡単だ。私のような人間になる。 親に恵まれたため、子供の頃から原書に近い形のグリム童話をいっぱい読んできた。 あまりにも当たり前に接していたので、好き、という云い方も何か不自然な気がする。 もし私が快楽殺人者になるとしたら、おおもとの原因はこれなのだろう。 ワイドショー各位には是非とも 「残虐! グリム童話の殺人!? 猟奇殺人犯xxのルーツを探る!」 とでもテロップを打ってほしいところだ。 そんな風に精神の奥底に貯め込まれているグリム童話の断片が、 ときどきひょっこり浮かび上がってくることがある。 これはもう好きな話だか