世の中どんなことでも先達、メンターは必要である。今時メンターがいない奴は非モテよりも酷い扱いを受ける。だから投げ銭にもメンターは必要なのだ。 そして投げ銭のメンターにふさわしいお方は誰かというとこの方しかいない。 捨丸様である。 隆慶一郎の傑作、男のバイブル、一夢庵風流記*1のラスト。コミックスだと徳間のやつが刊行途中なので集英社版で読むしかないが、この巻だけがちょっと分厚い18巻*2の最後の最後。天下の武辺者にして希代の傾奇者前田慶次が今日を限りに京を去るというその日、前田慶次と従者捨丸は傾奇終いと四条河原に銭函抱えて繰り出した。銭を目当てにたちまち出来る人の群れ。そして捨丸は銭を掴んでこう口上を述べる。 「銭まくど、銭まくど、銭まくさかい風流せい!」 加賀出奔以来の前田慶次の軌跡を見つめてきた読者にとっては涙なしには読めない場面だ。だからここはコミックス版の解釈を取りたいというのはさて