環太平洋経済連携協定(TPP)への参加をめぐる問題が浮上して以降、メディアが農業や農政に関する論点を大きく取り上げ、そのあり方をめぐる議論が活発になっています。 一方、農業・農村では、高齢化や耕作放棄地の拡大の問題がより一層深刻となり、価格支持制度や担い手の育成、農協の役割や生産調整の今後など、考えなくてはならない課題が山積しています。 東京財団は、日本の農業の再生に向けて、それぞれの個別議論や「産業としての農業」という捉え方だけではなく、その時々の政治情勢に左右されない広い視野に立った長期的なビジョンが不可欠であると考えます。 そこで、「日本の農政改革」プロジェクトでは、2年にわたるこれまでの研究成果として、「日本農業の長期的ビジョン」をまとめました。 この政策提言書では、農業・農村の現状を俯瞰した上で、TPP交渉参加の有無にかかわらず進めなければならない農政政策について、ぶれることのな
原田 泰 東京財団上席研究員・大和総研顧問 伝統は異文化に鍛えられたもの日本社会は黒船の来航によって大きな変化を遂げた。開国がすべて望ましい変化をもたらしたとは言えないかもしれないが、多くの人々がより豊かに、より自由に、より幸福になったのは事実である。異なる社会からの衝撃は、政治的、経済的、社会的に多くの混乱をもたらしうるが、それを乗り越えて、取り入れるべきものを取り入れ、取り入れるべきでないものを拒絶した結果として現代の日本がある。 文化は、他者との出会いの中で鍛えられ、また伝統となっていくものである。夫婦の姓が同一であることも明治以降に成立した文化である。銀閣寺を建立し、伝統的な日本家屋のスタイル、侘び寂びの美意識をもたらした室町将軍足利義政の妻は、日野富子であって足利富子ではない。エリートしか姓を持たなかった日本人が姓を持つようになったのは、すべての国民は平等の立場で近代国家の建設に
日本はTPP(環太平洋経済連携協定)交渉に参加するのか。今週、米ハワイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を前に、野田佳彦首相がいまや国論を二分するこの問題に結論を出そうとしている。日経ビジネスは11月7日号の特集「TPP亡国論のウソ」で、世間に渦巻くTPP亡国論に流されず、通商国家ニッポンの針路を示すには、まず誤解や曲解を排し、冷静な情勢分析と的確な判断に徹する必要があることを主張した。この企画と連動し、今日からシリーズで内外の論客にTPPの意義を論じてもらう。 第1回は元農林水産事務次官である高木勇樹氏(現・日本プロ農業総合支援機構副理事長)。 TPPが農業に壊滅的な被害をもたらすというTPP亡国論の最大の論拠は、農業生産額が半減し、コメの生産が9割減るとした農林水産省の試算だ。日本の農政を司る農水省は、関税障壁によってコメなどの重要品目を保護する一方、減反政策で米価
TPP実現を横目に急展開を迎えた日中韓FTA-日本の農業に対する影響は? 日中韓FTAは、遡ること1999年には三国首脳会談において共同研究の開始に合意、以来研究が継続されてきました。しかし中韓両国の対日貿易赤字拡大の懸念や農業問題等があって実際の交渉開始にはなかなか至りませんでした。ところが近年、米国やオセアニアが積極的に推し進めるTPPの実現化に向けた議論が盛んになるにつれ、日中韓ともに東アジアの経済圏形成を急ぐ必要が認識されるようになり、日中韓FTA推進の動きが再び活発になっています。 日本の農林水産物輸入では、中国は米国に次ぐ2位で、日本の大幅な輸入超過、韓国からの輸入は13位ですが、同じく大幅な入超です。右表にみるように、日本の平均的な関税率はかなり低いために中韓からみて、工業分野では日中韓FTAの利益は少ないのです。そのため、中韓両国と日本の貿易においては農産物のシェアが大変低
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