政府が、景気の基調判断を2カ月連続で上方修正したのは、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」をきっかけに進んだ株高で、貴金属やブランド品といった高級品やレジャー消費などを求める富裕層の消費マインドが上向いているためだ。一方で、平均的な家庭の給与所得は伸びないうえ、足元の円安に伴うエネルギー価格の上昇が重しとなって、日常の消費現場では節約による生活防衛を弱める気配はない。 「高級時計を購入する男性客が目立って増えた」。東京・日本橋にある高島屋東京店の高級品売り場の担当者はホクホク顔だ。この店舗では、日経平均株価が上昇に転じた昨年12月から高級ブランド品がよく売れるようになった。富裕層の消費意欲を取り込むため、高級品売り場を今年3月に改装し、取り扱いブランド数を現在より1割多い70に増やす。 高級品に対する消費意欲が盛り上がる背景には、アベノミクスに伴う株高がある。1月の全国百貨店の美術・宝飾