大阪府豊中市の「とよなか国際交流協会」で働く三木幸美さん(28)は、8歳まで「無国籍児」として育った。フィリピンと日本の二つのルーツをもつ。外国にルーツのある子どもたちの中には現在も戸籍や国籍のない子どもが一定数いるといわれるが、正確な数は把握されていない。「ケーススタディーとして私を知っておいてほしい」。取材を通じて、三木さん自身も知らなかった事実も明らかになった。(ノンフィクションライター・藤井誠二/Yahoo!ニュース 特集編集部) 阪急宝塚線豊中駅に直結したビルのワンフロア。鏡張りのレッスン室で、7、8人の女の子たちがダンスの練習をしていた。教えているのは三木幸美さん。「もっと腕を振って!」「動きを大きくね!」。声をはり、ゆっくりと話す。日本語に不慣れな子どもがいるためだ。女の子たちはフィリピンや中国、韓国など、外国にルーツをもつ。在日4世、5世もいれば、ニューカマー(1970〜8