企業がシステム構築プロジェクトに投資をする目的は,ビジネス目標を達成することにある。したがってビジネス要件を見ずに,システム要件ありきで開始したプロジェクトは,たとえ計画通りにシステムが完成したとしても,本来達成すべき目標を達成できないリスクが高い。 従来は,人手の作業をシステム化することにより生産性や品質が向上し,ビジネス上のメリットが得られたので,システム要件を気にしているだけでもよかった。しかし,一通りのシステム化が進んだ現在では,単なるシステム導入ではビジネス上の大きなメリットを得られにくくなってきている。そのため,まずビジネス面の目的や目標をビジネス要件として明確化し,続いてそれをシステムの要件にブレーク・ダウンすることが重要になっている(図3)。 ビジネス要件定義では,主として次の作業を行う。(1)企業がそのビジネスを行う目的を明確にする。(2)ビジネスにより達成したい目標を設