東日本大震災で損壊した茨城県ひたちなか市の土蔵から、戦国大名・伊達政宗の起請文(きしょうもん)(誓約書)が見つかった。 対立する佐竹氏につく常陸(ひたち)(茨城県)の武士に、佐竹氏を裏切るよう促した「密書」とみられる。関東に送られた政宗の起請文が見つかったのは初めてという。 被災した土蔵などにあった文化財が建物ごと処分されないよう活動するボランティア団体「茨城史料ネット」が確認した。壁や瓦が崩れた蔵の所有者家族が、片づけ中に「政宗」と読める文書に気づき、昨秋、ニュースで活動を知った同ネットに連絡した。 代表の高橋修・茨城大教授(日本中世史)によると、起請文は1589年(天正17年)、常陸の大名・佐竹義宣の配下にあった小野崎昭通(あきみち)に宛てられた。「中川北ニ江戸領之内(中略)可宛行(那珂川以北の江戸氏の所領をあてがう)」と記され、近隣の江戸氏に打ち勝てば、その領地の一部を与えると約束し