東日本大震災の被災地で激化する配偶者への暴力。失業に加え、仮設住宅などでの避難生活が長引き将来も見通せず、夫婦の関係にほころびが生じているケースも多いという。 「何が起きたのか分からなかった」。震災から1年2カ月後の2012年5月、岩手県大槌町の女性(32)は仮設住宅の中で突然、夫(35)に平手で顔をたたかれた。震災で失業した夫から金を無心され、言い争いになった後、「先に寝る」と別の部屋に行こうとした矢先のことだった。「お前は何様だ」。怒号とともに暴力は始まった。 夫とは07年に結婚。女性の両親とも同居し、平穏な生活を送っていた。しかし、震災で生活は一変。自宅は流され、勤務先の工場も被災し、夫は解雇された。 専業主婦だった女性は震災から半年後、生活のために働き始めたが、酒も賭け事もやらなかった夫はパチンコに明け暮れる毎日。「いいかげん、働いて」「パチンコはやめて」。震災から1年が過ぎ