すでにkeamrarさんが素晴らしい回答をしてくれています。 そうなんです。安部公房の小説はとにかくイメージ、感覚の部分をよく刺激してくれるんです! 安部公房自身が「小説は意味に到達する以前の体験を与えるもの」と言っております。説明的になりますが、安部公房の先進性は物語からの解放にあるんです。つまり、一様に「こうだ!」という読み方はできないということ。これは村上春樹然り、現代の文学はどんどんそういう方向へ進んでいますから、安部公房の先進性というわけです。 しかし、感覚で良さが分からないということなら、少し説明が欲しくなりますよね。 なので「一般的」な『壁』の評価理由を説明したいと思います。 『壁 Sカルマ氏の犯罪』の新しさは、まずその表現方法にあります。keamrarさんの言う通り、シュールレアリスムというものですね。質問者さんがどれだけ読書をするか存じませんが、おそらく通常の小説とは違っ