彼らはあの報告書をちゃんと読んでいるのか。最近の慰安婦問題をめぐるメディアの雄叫びを聞いていると、そんな疑問を抱かざるをえない。 吉田証言の取り消し以降、勢いづいている産経、読売をはじめとする保守メディアは朝日の全面謝罪にも納得せず、今度は「朝日の誤報が国際社会の誤解を生んだ」「国連のクマラスワミ報告撤回を要求せよ」という大合唱を始めた。 「クマラスワミ報告」というのは1996年に国連人権委員会が採択したスリランカの女性法律家、クマラスワミ氏による慰安婦問題の調査報告書のこと。日本軍の従軍慰安婦を「性奴隷」と認定して日本に法的責任をとることを求めたことから、「河野談話」とともに右派陣営から目の敵にされてきた。そして、このクマラスワミ報告の「性奴隷」という認定に根拠を与えたのが、朝日新聞の「吉田証言」報道だった。つまり、朝日が「吉田証言」を取り消したのだから、クマラスワミ報告も無効だし、朝日