Researchsウナギが川にのぼる謎が解けた！ （ウナギのユニークな淡水適応戦略） 中田 勉，広瀬茂久 東京工業大学・大学院生命理工学研究科 ウナギは私たち日本人になじみの魚であるが，生物学的には3つの大きな謎が残されている。まず (1) 産卵地が分からない，(2) シラスウナギになるまでの幼生時のエサが不明で完全養殖がむずかしい，そして (3) 生まれ故郷である広大な海からわざわざ狭い河川にのぼって成長するのはなぜかよく分からない。私たちは分子生物学的手法を駆使して第三の謎を解いた。驚くべきことに，ウナギは硫酸イオンを活用する省エネシステムを発達させ，淡水中での生存競争で圧倒的に有利な地位を築いているのである。「土用のうなぎの日」の言い出しっぺは，江戸時代の平賀源内（エレキテルで有名な日本で最初の電気学者）というから，東工大がウナギの謎を解き，ウナギ談義に花を添えても不思議ではあるまい。 はじめに
