2010年、「非実在青少年」という、聞きなれない言葉がニュースを飛び交った。 東京都の青少年健全育成条例の改正案で、都側が「年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの」を指す言葉として作った造語である。 東京都がこの非実在青少年の性交や、その類似行為をマンガやアニメなどで描くことを規制しようとしたことに対し、マンガ家を始めとする出版業界関係者は強く反発した。 世論もこの条例改正に注目し、一時的に改正案は、知事提出の案件としては、12年ぶりに否決されるという成果を結んだ。最終的には12月にさらに改正案が提出され、可決成立をしてしまったが、マンガ表現規制問題に対する強い関心が集まった1年と言えよう。 手塚治虫デビューとともに そんな年に上梓されたのが、長岡義幸『マンガはなぜ規制されるのか』(平凡社新