サウジアラビアなどの豊かな食糧輸入国が新たな安保戦略に乗り出した。 肥沃な農地を国外に求め、安定供給源を確保しようとしているのだ。 一部の途上国は農業投資を歓迎するが、道義上の懸念も広がっている。 サウジアラビアには永続的な川や湖がない。雨も少なく、穀物を栽培するには大金を投じて地下水を吸い上げる必要がある。乳牛は扇風機や噴霧器で冷やしておかなければならない。つまり誰の頭にも、サウジは大規模農業を想起させる国ではないのだ。 だが、そんな認識も変わるかもしれない。石油高騰で潤い、食糧安全保障を危惧するサウジでは、肥沃な土地を求めて政府高官がスーダンやウクライナ、パキスタン、タイに飛んでいる。国外に大型プロジェクトを立ち上げ、民間企業を巻き込んでトウモロコシや小麦、米を生産する狙いだ。各プロジェクトの規模は10万ヘクタールを超える見通しで、穀物の大半がサウジに輸出されることになるという。