所持金なし、宿もなし、仲間も家族もなし、という状態でとつぜん街中に放り出されたら──。すべては、この問いかけから始まる。 景気はなかなか上向かず、ヒトも事業も仕分けされがちな昨今、誰にとってもそうした可能性が絶対にないとは言い切れない。 ところで、あなたならどうしますか? なんとか履歴書を入手して仕事を探す──。至極まっとうな答だろう。しかし、著者は別の方法を提示する。 キーワードは「<都市の幸(さち)>で暮らす」。 〈そのとききみは、政治、経済、労働、あらゆるものから解放され、きみ自身にしかできない生活を獲得するだろう〉 そう、これは世が世なら政府が発売禁止にしてもおかしくない“危険”な思想書でもある。さて、無職・無一文で<都市の幸>を狩猟採集して暮らす方法とは? そのドアをノックした瞬間、彼の人生は大きく変わる その前に、著者の坂口恭平氏について簡単に紹介しておこう。1978年、熊本県