フジテレビ系(関西テレビ)。「あしたの、喜多善男〜世界一不運な男の、奇跡の11日間〜」。 原案:島田雅彦『自由死刑』。脚本:飯田譲治。音楽:小曽根真。主題歌:山崎まさよし「真夜中のBoon Boon」。第十話。演出:下山天。 第一話を見たとき、主人公=喜多善男(小日向文世)の風情が、妙に愛着や共感を抱かせるのと同時に、全体として何とも形容し難い気持ち悪さを醸し出しているのを感じていた。今や、その気持ち悪さの正体が何だったのかを言説化することができる。彼は、己の記憶や思考の内にあるあらゆる嫌な面を消去して純粋化された「よい人」であり、云い換えるなら一個の人間として極めて偏った存在、もっと云えば完全な人間であるために不可欠な複合性を失った存在だったのだ。だから形容し難い気持ち悪さを醸し出してしまう。 そして先週の第九話を見て感じた疑問「喜多善男に死を決意させたのは誰か?」については、三波貴男(