先日、国立西洋美術館で開催中の「ルーヴル美術館展」を観に行ったときのことだ。 長蛇の列に並び、ようやく一つ目の展示室にたどり着くと、左手に「マリー・ド・メディシスの肖像」(フランス・プルビュス(子)画)という肖像画が現れた。 彼女は16~17世紀にかけて、イタリアのメディチ家からアンリ四世のもとに嫁ぎ、フランス王妃となった女性だ。その巨大な絵の前に立った私は、凄まじいまでに豪華なファッションに目がくぎ付けになった。 35カラットものダイヤモンド(「プチ・サンシー」と呼ばれる彼女の個人所有物)を頂く王冠もさることながら、複雑に編み込まれたドレスの迫力がすごい。フランス王室を表象する百合の紋章、孔雀の羽根のような襟、そして胸元から腹部にかけては、大粒の真珠がこれでもかというほど装飾されている。 その中心で威厳たっぷりに微笑するメディチ家出身の王妃は、絵の前で圧倒されるしかない私のような現代人に