伊東(以下――) 今回は、まず「伝統」との対峙の仕方、特に国際社会で「日本」の伝統という言葉をどのように使って考え、芸術的な発言をしていくか、という問題を伺いたいと思います。それから湯浅先生の本質的な「コスモロジー」、そして最後に現在作曲しておられる作品など、未来に向けてのお話をお願いします。 湯浅 譲二(ゆあさ・じょうじ)氏 1929年福島県生まれ。作曲家。慶應義塾大学医学部在学中から音楽活動を始め、52年に芸術家グループ「実験工房」に参加、ピアノ曲「二つのパストラール」でデビュー。作曲活動に加え、81~94年まで米カリフォルニア大学サンディエゴ校で教授を務め、現在も日本大学藝術学部で講義を受け持つなど後進を指導している。ベルリン映画音楽祭審査員特別賞、芸術選奨文部大臣賞、紫綬褒章、日本芸術院賞・恩賜賞など受賞は多数 (写真:大槻 純一、以下同) 湯浅 譲二 分かりました。 ―― かなり