トントン―― まだ――起きてる? あ、うぅん、いいの。 ドアは閉めておいて。 そのまま、聞いて。 あの――。 あのね。 …… …… さっきは―― ごめん。 海晴姉様に怒られちゃった…… 素直じゃないのもいい加減にしなさいって。 …… 考えてみれば、八つ当たりだよね。 ごめん。 これ――。 置いていくから後で見ておいて。 たいしたものじゃなくて悪いけど。 あの後、あの次の日ね。 本当は――もう1回作ったの。 さくらが――あんまり泣くからね。 大丈夫だよって――。 そう教えてあげたかったから。 でもバレンタイン終わっちゃったのに わざわざチョコあげるなんて―― バカみたいじゃない? だから―― なんとなく―― 渡しそびれて。 ずっと持ってた。 もう古いし食べなくてもいいよ。 でも私――。 下僕のことキライじゃないから。 …… ――だめ! ドアは開けないで。 なんとなく、渡そうかと思っただけだか