デビュー・アルバム『オラキュラー・スペクタキュラー』(2008)で2000年代オルタナ・ブームの火を付け、インディ・ポップ、エレクトロ、サイケデリックといった箱庭のアート・フォームを一気にメジャー化する立役者となったMGMT。彼らは直近5年のUSオルタナティヴ・ロックを代表するアイコンであり、同時にそんな時代のアイコンたる自分たち自身に戸惑い、葛藤を続けてきたインディ・ピュアイストでもあった。 2010年リリースのセカンド・アルバム『コングラチュレイションズ』がまさに「脱アイコン」を目指したダークでディープな一作となったのも、MGMTらしい反動だったとも言えるだろう。そんなMGMTが初めて自らの名前を冠したのが最新作の『MGMT』だ。テーマは「宇宙」だと彼らが語る本作は徹底してサイケデリックかつカオティックな作品だが、同時にいまだかつてない解放感を感じられる作品でもある。内に籠もる混迷とし