かつての『パセリ危機』にあって現在の『南シナ海の危機』では失われつつあるもの。 ここで昔話をひとつ。 時は12年と少し前。現地の言葉で「パセリ島」と呼ばれる無人島がありました。そこには幾らかの山羊と、そして名前の通り野生のパセリが繁茂するだけの、特に何の意味もない小島。しかしその島は不幸にもある二つの国家の勢力圏の境界付近に存在していたために、長年双方の国から統治権が争われていました。よくある話と言えばこれ以上ないほどよくある話。 ――ここで更によくあることに、一方の国がそのパセリ島に兵士を送り込み国旗を打ち立てたのです。 もう一方の国の政府は、多くの国民たちは当然激怒しました。必ず邪知暴虐な振る舞いは排除しなければならない。かくしてそれ以上の軍隊でもって彼らはそのパセリ島を取り戻します。兵士20人で取られたのだから、こっちは75人の空挺部隊。見事に島を奪還します。 もちろん収まらないのは