好き同士だった。ちゃんと告ってはないけど。告られてもないけど。そんな関係だった。と思ってる。 こんなこと書いてると、現在リア充中の中沢こえさんに秒速5センチメートルの主人公並みに「何で好きって言わないんだ女々しい奴」って言われてしまうかもしれないが、過去の話だから。過去の。過去のね。 高校1年の夏の終わり。 その日、僕らは部活後に会う約束をしていた。どちらからともなく、単に会いたくなったって感じで。 部活がハードで中々出掛けられない上、寮生活を送っていたジモティーじゃない僕に合わせて、知っている唯一の場所である寮の近くまで来てくれる。そういう約束だった。 初めてという春から間もない僕にとっては、生活している寮の周辺すらまだ未開の地だったわけだ。 部活が終わり、急いでシャワーを浴び走った。その子のもとへ。 「シャワー浴びた意味あるわけ?」 その子は笑って言った。その顔が見たかったからだよとは