〔寄稿〕 伊藤 一道 ((株)三菱総合研究所 地球環境研究本部 サステナビリティ研究部 環境政策・経営研究チームチームリーダー) 1.はじめに 1992年の国際連合気候変動枠組条約に基づき国際的な協調の下で温暖化問題への取り組みが実施されることとなった。本条約に基づき1997年に京都議定書が採択されているが,昨今の関心の1つはロシアが批准してこの議定書が発効するかどうかということである(1)。京都議定書が発効すれば批准国は議定書遵守の義務を国際的に負うこととなり,わが国も基準年より6%の温室効果ガス排出量の削減を迫られることとなる。 本稿では,このような状況下でわが国の温暖化対策及びその周辺について概観した後,株式会社三菱総合研究所など(2)が実施した排出量取引模擬実験の結果を引用して,今後のわが国における温暖化対策について考察する。 (1)京都議定書は1997年1