『竹取物語』の面白さは前編で指摘したように「謎解きの楽しさ」にあります。 そして『竹取物語』がこんなにも多くの謎を秘めているのは、一つには、物語の成立過程が複雑ということも関係するのかもしれません。 他の多くの古典同様、『竹取物語』の原本は残っていません。しかも現存する最古の完本の写本は1592年に書かれたという新しさ。『竹取物語』は800年代の後半から900年代の半ばまでのあいだに成立したと言われますから、今現在「原話」とか「原文」と呼ばれる『竹取物語』は物語ができてから六、七百年も経って書き写されたものなのです。 しかも諸本によってその内容がかなり違い、できた当初の物語に相当の手が加わっていると言われています。 それで、「原『竹取物語』」といったものがあるとしたら、それはどういうものだったのか、どんな物語が『竹取物語』に影響を与えたのか、さまざまな研究があるわけで、非常に関係深いとされ