例えば、車椅子生活を余儀なくされている人の歩行をサポートする。筋肉が衰えた高齢者も重たい荷物を軽々と持てるようになる……。人間の身体機能を拡張、増幅、強化するロボットスーツという新しい発想で生まれたロボットが『HAL(ハル)』だ。人間の筋肉は脳から運動ニューロンを介して伝達される神経信号によって収縮する。HALは、この微弱な生体電位信号を皮膚表面で検出、処理する随意的制御を行う。皮膚表面にセンサを貼り付け、動きたいと思うだけで、人間の思いどおりに動作するのだ。筋肉の衰えや脊髄損傷などによって身体の機能不全を来した装着者の動作を支援したり、リハビリに役立てるロボットである。 既に量産化の手前まで到達しているこのロボットスーツを考案、実用に不可欠な数々の要素技術を開拓したのが山海氏だ。 ロボットの研究者になりたいと思ったのは、9歳のときでした。風邪で寝込んでいたら、母が何冊か本を買ってきてくれ