Lesson 290 蝶番(ちょうつがい)の人 転職した友人が悩んでいた。 前の会社で評価されていた自分が、 今度の会社では評価されない。 それで、すっかり自信をなくしていた。 私は、その豹変に驚いた。 友人は、たしかに、すごく仕事ができる人だったけれど、 それ以上に、志が高かったからだ。 どんなときにも、自分をちゃんと持っていて、 志のためには、潔くいらないものを捨てる、 はらの座った人だった。 そんな友人に、 「周りなんか、気にするな。 もっと自分に自信をもって、 もっと広く大きな目標を見て、 超然と、わが道を行け!」 と言うようなことを、昔の私なら言ったかもしれない。 だけど。 いまの自分には、 ものすごく、よくわかるような気がした。 友人の痛みが。 つまり、 遠い、未来の大勢が、 自分をすごく評価してくれるとしても、 いま、自分が生きる、この環境に、 「一人の理解者」が無いのがつら