新聞のコラムをまとめています【産経抄】10月3日 「大きくなったら/ぼくは博士になりたい/そしてドラえもんに出てくるような/タイムマシンをつくる」。7歳の少年が書いた「ぼくの夢」という詩だ。少年の父親は、過労が原因とみられる鬱病(うつびょう)に陥り、自らの命を絶った。 ▼詩は続く。「ぼくはタイムマシンにのって/お父さんの死んでしまう/まえの日に行く/そして/『仕事に行ったらあかん』て/いうんや」。平成10年以来、日本では、自殺者が毎年3万人を超えている。そんな現状を作家の五木寛之さんは、「心の内戦」と呼んでいた。 ▼心の病との戦いの最中に、日本社会は、新たな脅威にさらされている。「生きていくのが嫌になった」とうそぶく殺人者によるむき出しの暴力だ。1日未明、大阪市内で起きた放火殺人事件は、過去最悪の15人の犠牲者を出した。東京・秋葉原や茨城県土浦市で起きた無差別殺人事件の衝撃が、まだ