読み物に関するmasahiroyのブックマーク (4)

  • 愛なき世界 - 傘をひらいて、空を

    すれ違いねえ。そう、すれ違い。ほんとはおたがい好きなのに、ってやつ。それじゃ話は簡単じゃない、いや、そのふたりの話自体は、ぜんぜん、簡単じゃないけど、解決策は単純でしょ。どうすればいいっていうの。そりゃ、第三者が、お互い誤解してるよって言ってあげればいい、この場合、マキノが。ちょうどいいじゃん、あんたときどき見合いババアみたいだし。私は聞いたよ、今年の花見で、いい感じのふたりがいるときに、片方がひとりになったのを見計らってささっと近寄って「あの子、いま、彼氏、いない」ってつぶやいて去っていったって。なにその無駄のなさすぎるせりふ。助詞くらい使え。私がその男の子なら確実に、出た、妖怪見合いババア、と叫ぶね。 そりゃあ私は、人がくっつくの見るの好きだけどさあ、でもこの場合は、だめなんだよ。だから、なんで。それはね、あのふたりの主観をそれぞれ聞けばわかる。そこには暴力が存在しているということが。

    愛なき世界 - 傘をひらいて、空を
  • 私はあなたを裁かない - 傘をひらいて、空を

    どうにもやりきれない話を、やや長いあいだ、それでもおそろしく圧縮されたのであろうバージョンで、聞く。そのあいだ何度か、私はうなずいた。正確には首をちいさく動かした。否定にも肯定にもなるようなならないような、とても意味のない動きだ。そこからは人のしぐさから生じる棘の一切をあらかじめ注意深く取り払ってある。意味がないこと、害がないこと、手頃な壁のようであること。私はときどきそのような役割を、わりあい自覚的に負う。 彼女は言う。あなたは悪くないって夫は言うのよ、お医者さんもね、私に責任があることじゃないからって、でも、私は、どうしてもそうは思えないし、自分が悪いと思ってしまうこと自体が間違ったおこないで、それを捨てることのできない自分が「悪い」というふうに、堂々巡りをしてしまうの、自己憐憫で現実を受け止めずにやりすごそうとしているんじゃないかと思うの、私は現実的にできることをほんとうにはぜんぶや

    私はあなたを裁かない - 傘をひらいて、空を
  • 明るい人の明るい理由 - 傘をひらいて、空を

    あけましておめでとうございます。あ、アウトだ、これ。 渡部さんがそう言い、私はあいまいに笑う。視界に入っている他の二人も、おそらく同じような表情をしている。私たちは社内読書部(会社非公式。活動内容・ときどき都合のついた者が集まってランチ会または飲み会を開き、の話をする。要らなくなったをやりとりする)の仲間だ。仕事の話よりの話をする、およそ会社の利益には貢献しない集団だけれども、の話しかしないというルールはとくにないので、なんとなし個人的な話を聞いたりもする。もちろん、個人的な話をいっさいしない人もいる。 仕事に関係のない、とくに小説だとか、実用性を持たないとされているを、大人になってもやたらと読んでいる人間は、おおむね性格がめんどくさい。率直な人、社交的な人、陽気な人もいるけれども、内面を開くと、なにがしか薄暗いものを抱えている。いいもん、と以前の会で誰かが言っていた。どうせわ

    明るい人の明るい理由 - 傘をひらいて、空を
  • 教養がないとはどのようなことか - 傘をひらいて、空を

    私の勤務先では人事部だけが採用活動をするのではなくて、現場の人間が面接を担当する。面接官は通常二人組で、このたび私を指名したのが篠塚さんである。篠塚さんは言う。僕、教養がないんで、面接でその手の話になったときにはよろしくです。 篠塚さんは私よりいくらか年長の男性で、職務上の能力がとても高い。専門知識を常時アップデートしている。ものの言い方が率直すぎて誤解を招くことがあるが、内容はおおむね正論である。基的に誰にでも親切で骨惜しみをしない。イギリスで修士号を取ってから就職したと聞いている。 教養とはこの場合、何のことでしょうか。私が訊くと、篠塚さんは明快に(だいたい明快な人物である)答えた。文学とか芸術とかです。マキノさんそういうの好きでしょ。 私はたしかに小説を読み美術館に行くが、それを教養と呼ぶのか。好きなものを好きなように摂取しているだけではないのか。篠塚さんは言う。僕、仕事関係以外の

    教養がないとはどのようなことか - 傘をひらいて、空を
    masahiroy
    masahiroy 2019/01/30
    プラトンとソクラテスの対話みたいだな、読んだことないけど
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