ギリシア文字は、古代ギリシア人がギリシア語を表記するため、フェニキア文字を元に作った文字である。ラテン文字やキリル文字は、このギリシア文字を元に、後に生まれたものである。今日でも現代ギリシア語の表記に用いられ、また非ギリシア語圏でも、(形式科学の)数学、(自然科学の)物理学、天文学のバイエル符号など、様々の分野で使われている。 「アルファベット」という言葉は、この文字体系の伝統的配列の1番目(アルファ)と2番目(ベータ)の文字名称が、その語源である。各文字の日本語慣用名称は、主として英語式発音に由来する。例えば、Π は、古代ギリシア語では「ペー」と発音するが、日本では一般に「パイ」と読まれる。これは英語の pi [paɪ] に倣ったものである。 21世紀初頭において、ギリシア文字を言語の表記に使用するのはギリシア語のみである。このため、使用地域はギリシア語を公用語とするギリシアとキプロス、