ブラジル通信 第11号 サンパウロの中心から 2001年12月28日発信 小井沼國光 いまなお残る「臣道連盟」の後遺症 一 『Coracao Sujos(汚された心)』をめぐって 去る十二月十三日(木)の夜、サンパウロのパウリスタ大通りにある日本交流基金のホールで、フェルナンド・モライス(Fernando Morais)という作家による講演会があった。 題は、彼の本の題名である『Coracao Sujos(汚された心)』。 これは、日本の敗戦とともにここブラジルの日系移民社会で起きた「臣道連盟」事件の顛末を描いた本で、昨年発売と同時に連続何週間にも渡ってベスト・セラーになった本である。 講演が始まる前、集中豪雨で参加者は少ないかと心配したが、約百人入れるホールは、ほぼ満員。聴講者は、日系人二世と三世が中心であったが、それに一部、一世、およびブラジル人がいた。二世と云ってもほどんどはもう六十