.こないだ新訳が出た、H. L. A. ハート(長谷部恭男訳)『法の概念(第二版)』(ちくま学芸文庫)がお手頃でいいんじゃないかと思います。けっこう気ままにいろんなことが書いてあるので、教科書でまとめられている印象とは違うところもあるはずです。よくわからないところもたぶんあると思いますが、古典とはそういうものなので、あまり気にせずどんどん読むのがいいでしょう。原著もそんなに高くないので、見比べながら読んでみるのもいいです。 .その後は、ハートのこうした議論に対してどういう反応が出てきたか、たとえばドゥオーキン(木下・小林・野坂訳)『権利論(増補版)』(木鐸社、2003年)などを読んでいくなど。ドゥオーキンの本は『法の帝国』ほか、どれも重要ですが、分厚くて議論が複雑なので、なかなかの歯ごたえがあります。でも少なくとも『権利論』『法の帝国』はいきなり読んでも面白い部分がたくさんあると思います。