私は1年と数ヶ月前、バーチャル上に「あまいおかし」名で女性として生を受けた。元々はリアルに肉体と魂を持つ男性だった。バーチャルという理想郷バーチャル上の私は、理想的な容姿でとても美しい。鏡を眺めているだけで頬が緩むほどに。その美しさを理解するのは自身だけではない、周囲も理解してそんな反応をする。普段決して言われることはない「かわいい」という言葉が降りかかる。それが私にとってのバーチャル世界の日常だ。 「バーチャル世界は最高に幸せな空間だ」 バーチャル比重の拡大バーチャル容姿の心地良さも相まって人との交流も増え始めた。バーチャルコミュニケーションは、容姿のコンプレックスを全く意識する必要がない。リアルより気軽で、ネットより濃密な関係を築ける。その為、どんどんとバーチャルでの人間関係が深まっていった。次第に人間関係のバーチャルの比重が大きくなり、対してリアルが小さくなっていった。 「段々と生活
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