2年にもおよぶシリア内戦。アサド政権の支配に反対する反政府軍(自由シリア軍)の戦いは、ダマスカスやアレッポなどの都市部だけでなく、地方の小さな村までも戦場に巻き込んだ。今年2月と6月、二度にわたってシリア入りした戦場カメラマン・久保田弘信さんが横浜市立大学で講演し、現地の惨状を学生らに訴えた。彼が目の当たりにしたシリアは、どういうものだったのか。 ■内戦に巻き込まれた500人の村 久保田さんがシリア入りするきっかけは、ある看護師の呼びかけだった。「医療物資をジャーナリストの方に運んでほしい」という依頼をうけ、「自分が役に立てるのなら」という気持ちで日本を飛び立った。拠点としていたのは、トルコ国境の町ハタイに近い山間部の小さな村にある診療所だった。 そもそも、この村は人口500人程度の小さな村。攻撃が地方にも及ぶようになったため、都市部や周辺の村から逃れた人たちが集まってきていた。ここは自由