質問①:突如意識を失って倒れ、心臓が止まった人を見かけたら? 答え①:心臓に拍動が戻ってくるまで、胸の中央に両手を置き規則的に強く圧迫する。 質問②:「私」という存在が擦り減って、今にも消えそうな人を見かけたら? 答え②:「私」という存在が蘇生するよう、その核に当たる場所を強く圧迫する。 私は、これを、「“私”の蘇生術」あるいは「心理的CPR」と名づけた。わかりやすく言えば、その人にとっての「私」という存在を刺激し、「自分」の話ができるよう、その人の心を適切に刺激してあげるのである。 ある会合で30代前半の女性と向かい合って座る機会があった。よく笑ううえに物腰も洗練されていた。笑い方にやや形式的なところはあるにせよ、彼女はとても華やかで、魅力的な人物だった。 話の途中、彼女に「最近、心の調子はいかがですか」と尋ねた。その時点で彼女は、私の職業を知らなかったのだが、姿勢を正し、少し間を置くと